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偏差値の求め方とは?偏差値の意味や高校と大学受験の偏差値の違い

2022.08.03

カテゴリー:
模試の偏差値

大学受験に向けて勉強する高校生の皆さんの中には、「偏差値」を意識して勉強している人も多いのではないでしょうか?とはいえ、偏差値がどうやって計算されているのか、実はよく知らないままかもしれませんね。偏差値の求め方を理解すると、数字に惑わされることなく、志望校選びや受験対策に正しく活用できるようになるはずです。
この記事では、偏差値の意味や計算方法のほか、高校受験や高校内の偏差値と、大学受験の偏差値の違いなどについて解説します。

偏差値とは?

偏差値とは、テストを受けた受験者全体の中で、自分の学力がどの位置にあるのかを示す数値です。受験者の平均学力を「偏差値50」とするため、あなたの偏差値が50より大きな値の場合は平均学力以上、50より小さい場合は平均を下回っていることを意味します。

偏差値50の人は、集団の中では真ん中に位置するわけです。では、ここでクイズ。偏差値が50から上下15違うと、それぞれ集団の中でどのあたりの位置になるのか、皆さんは想像できるでしょうか?

例として、河合塾が2022年4月に実施した第1回 全統高1模試(記述式)の「教科科目別成績順位表_英語」の結果で見てみます。39,803人が受験したこの模試において、偏差値65.2だった人は3,025位、偏差値35.2の人は36,698位です。偏差値50.2で18,399位だと考えれば、イメージがつきやすくなるのでは?

偏差値の求め方とは?

あなたの学力的な位置を明らかにする偏差値ですが、どのように計算するのでしょうか。ここでは、偏差値の求め方について解説します。

偏差値計算のために必要な標準偏差

偏差値を求めるためには「標準偏差」が必要です。「えっ、いきなり難しそうな言葉が出てきた。読みとばそうかな?」と思った人もいるかもしれませんが、大学を受けるあなたならわかってもらえる内容なので、どうかちょっとだけお付き合いくださいね。
この標準偏差とは、受験者全体の得点のバラつきの大きさを表す数値のこと。下記のテストの結果を例として、標準偏差を求めてみましょう。

■あるテストの結果

名前得点(1)平均点との差(2)平均点との差の2乗
Aさん726.846.24
Bさん46-19.2368.64
Cさん9226.8718.24
Dさん54-11.2125.44
Eさん62-3.210.24
平均点65.2 (3)1,268.8

(1)は個人の得点と平均点との差、(2)はそれを2乗した数値で、(3)はその合計値です。
この(3)を人数で割ると253.76となり、この平方根(√)が標準偏差となります。

標準偏差=√253.76=15.93

このテストの場合、標準偏差は「15.93」です。

偏差値を求める計算式

偏差値は下記の計算式で求められます。

偏差値=(個人の得点−平均点)÷標準偏差×10+50

手順としては、まず個人の得点から平均点を引いて標準偏差で割り、これに10を掛けます。10を掛けるのは偏差値を2桁の数字にして、感覚的にわかりやすいようにする目的があるのです。

さらに50をプラス! 50を足すのは、偏差値50を平均(受験者全体の真ん中)とするため。得点と平均点が同じだった場合、計算式の「個人の得点−平均点」は0となり、偏差値は50となります。

先程のテスト結果で偏差値を計算すると、下記のとおりです。

■あるテストの結果(標準偏差:15.93)

名前得点平均点との差偏差値
Aさん726.854.3
Bさん46-19.237.9
Cさん9226.866.8
Dさん54-11.243.0
Eさん62-3.248.0
平均点65.2050.0

偏差値のメリット・デメリット

偏差値は自分の学力を知るのに便利な数値です。偏差値を正しく活用するために、偏差値のメリット・デメリットも確認しておきましょう。

偏差値のメリット

偏差値は、自分の学力を客観的に証明するものです。
「この大学に行きたい!」と志望校が決まっている人は、自分の偏差値を大学偏差値一覧に照らし合わせれば、自分の偏差値が志望校に合格できる学力か、客観的に判断できる点がメリット。
志望校に合格するために、どれぐらい偏差値を上げる必要があるのかも明らかになります。同じ模試を継続的に受ければ、偏差値のアップ幅によって自分の成長度合いもわかるので、受験勉強のモチベーションアップにもつなげられますよね。

偏差値のデメリット

偏差値は自分の学力を相対的に把握し、目標を定めやすいという意味で有効なもの。一方で、偏差値はあくまで相対評価にすぎません。模試を受けた人の学力によっても変わってきます。つまり、あなたの本当の学力を示しているわけではないのです。だからこそ、自分の偏差値を過信したり、さらにその偏差値だけで志望校を決めたりすることは、とてもリスキーだといえるでしょう。

偏差値を活用するときの注意点

模試を受ける受験生

 
大学受験を考えている高校生が偏差値を活用するとき、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。ここでは、偏差値活用にあたって注意したいポイントを3つ紹介します。

模試やテストによって偏差値の出方は異なる

仮にあなたが、A塾の全国模試を4~9月まで毎月受けたとします。すると、半年という長いスパンでの偏差値のアップダウンがわかりますよね。
でも、A塾の全国模試を4、6、8月に、B予備校の全国模試を5、7、9月と交互に受けたとするとどうでしょう。偏差値は模試を受験する人の数や学力によって出方が大きく違うものなので、同じ半年間でも基準がふたつあると、偏差値の推移がよくわからなくなってしまうのです。
とりわけ、高校内の定期テストと全国模試の偏差値では、差が大きくなりやすいため、注意して見ることをおすすめします。

模試の受験者人数が適正なものを選ぶ

受験者数が極端に少ない模試、あるいは模試の中で受験者数が少ない教科・科目を選んで受けたとき、偏差値がマイナスになったり、100以上になったりすることがあります。これは偏差値を計算するとき、得点分布が「正規分布」というきれいな山型グラフになるのを想定しているのですが、実際の得点分布がそうならないと、極端な偏差値が出るのです。

これは母集団が少なく、その中で点数が偏った場合に起こります。もしあなたが偏差値マイナス20や偏差値120を取ったら、思わずポカンとしませんか?
そうならないよう、ある程度、受験者数が多い模試や教科で受けるようにしてくださいね。

目標偏差値に到達すれば必ず合格するわけではない

塾や予備校が公表する大学の偏差値は、あくまで目安でしかないと考えておきましょう。偏差値65の大学を受験するとき、あなたの全国模試での偏差値が65に達していても、確実に合格するとはいえません。偏差値65以上の受験生の50~60%が合格しますよ(塾によっては80%)、という基準の数値なのです。

また、塾・予備校の全国模試は、偏差値をもとに大学・学部ごとでA〜Eランクの合格判定を出します。この合格判定は、大学受験より厳しめにジャッジする傾向があるのです。つまり、合格判定の結果が良くなくても、本番では合格できる可能性はあります。全国模試での合格判定は参考としながら、とにかくコツコツと勉強しましょう。

大学受験の偏差値

大学受験における偏差値は、高校生の皆さんがこれまで見てきた、あるいは普段目にしている偏差値とどう違い、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、高校受験や高校内、塾や予備校の偏差値の違いとその特徴について解説します。

高校受験の偏差値と大学受験の偏差値の違い

「高校入学後に大学受験用の模試を受けたら、高校受験のときに比べて偏差値が下がっていた!」と驚いた人もいるのでは。それもそのはず、ほとんどの中学生が受験し9割以上が進学する高校受験と比べて、大学進学率は5割超。当然、受験者数は限られる上、さらに高校3年間以上にしっかり勉強してきた浪人生も受験します。
つまり、大学受験の受験者のレベルは、全体に高めになります。数は減るぶん、手強いライバルが多くなるということですね。
大学受験で偏差値を上げるのは、高校受験のときより大変で、上位層に入るにはさらに難度が上がると考えていいでしょう。

全国模試と高校の定期テストの偏差値の違い

高校で実施する定期テストの偏差値は、同じ高校に在籍する生徒の中で、学力を判断するためのもの。そのため、高校のテストではあなたの偏差値が70でも、全国の高校生が参加する全国模試の偏差値が60となるなど、偏差値に差が生じることがあります。

それは、母集団のレベル差が原因です。高校内の偏差値はそこにいる生徒の学力で計算されますが、全国模試は、全国のさまざまな学力を持つ高校生と競うもの。そこに当然、差が生まれてくるのです。
大学受験は、基本的に全国レベルでの戦い。レベルの幅があって参加者数が多い全国模試を参考にするようにしましょう。

塾や予備校が出す偏差値の違い

全国規模の模試であっても、主催者である塾や予備校によって偏差値は違います。各教科の得点の合計点で偏差値をつける「合計偏差値方式」を用いる塾もあれば、教科ごとの偏差値を足して割る「科目偏差値方式」を使って計算する予備校もあるのです。

また、塾・予備校の母集団の学力によって、計算される偏差値が異なってくることも。つまり、医学部や難関大学を目指す生徒が集まる塾・予備校が開催した模試なら、試験を受けた人はみんなレベルが高い。結果、高い偏差値は出しづらいというワケです。

大学受験を控えた高校生の偏差値の上げ方

高校生の皆さんは、大学受験までにできるだけ偏差値を上げて、志望校への合格可能性を上げたいですよね。それでは、どうしたら偏差値を上げられるのか?ずばり、偏差値の上げ方を紹介します!

偏差値10アップには20点アップを目安とする

模試やテストを受ける母集団によって、偏差値は変わってきます。偏差値10アップのために必要な点数は、一概にはいえないものの、模試の標準偏差はだいたい15〜25。すなわち、偏差値10アップには点数を20点上げるのがひとつの目安といえるでしょう。

苦手教科・科目を克服する

大学受験に向けて偏差値を上げるには、苦手教科・科目の重点的な対策がポイントです。どんなに得意教科・科目の偏差値が高くても、苦手科目の偏差値が低いままだと全体の偏差値は上がりにくいのも事実。
苦手教科・科目は伸びしろが大きいため、これをしっかり克服できれば、全体の偏差値を大幅にアップできる可能性があります。

偏差値を上げるには日数がかかる

受験生の皆さんに注意してほしいのは、「偏差値はすぐには上がらない」ということです。
「なぜ?」と思った人のために詳しく説明すると、正確には偏差値を上げるのにかかる日数と難度は、現時点の偏差値が40と60で異なります。
偏差値40から50まで上げるには、教科書の内容をしっかり把握して基礎を強化し、苦手分野をある程度対策することによって、最短60〜120日で実現する可能性があります。夏休みの勉強で上げることも可能かも?
一方、偏差値60から70へ上げるには、応用力を高めなければなりません。このケースは、1年以上かかる場合も。ハイレベルな競争ほど長期的な視点が求められるのです。

後悔しない進路の選び方

受験勉強する高校生

 
高校生が進路を選ぶときに、何を基準にして、どのような点を重視したらいいのでしょうか。ここでは、後悔しない進路選択の方法を紹介します。

偏差値はあくまで目安としてとらえる

高校生の皆さんは、模試の成績をもとにつけられる偏差値と合格判定に、喜んだり落ち込んだりすることも多いと思います。しかし、模試の成績で計算された偏差値は、あくまで模試の受験者の中だけのものであることに注意してくださいね。あなたの志望校を受験する人たちは、実際にはもっと増えるかもしれないのですから。

また、模試は共通問題で実施されるため、あなたの志望校の出題傾向が反映されているわけではないのも気をつけたいポイント!模試の合格判定が良くても、志望校の入試でうまく結果が出せるとはいえません。偏差値は自分の学力を把握するには参考になりますが、あくまで目安として考えておいたほうが良さそうです。

偏差値に左右されない入試で進学する

大学入試には、「大学入学共通テスト利用選抜」や各大学独自のテストにより選抜する「一般入試(一般選抜)」以外に、「総合型選抜」や「学校推薦型選抜」という入試方式もあります。

<偏差値に左右されないタイプの入試>
・総合型選抜
総合型選抜は、「大学が求める学生像」をもとに、面接などで選抜します。調査書だけでなく、各大学が採用する試験(小論文やプレゼンテーション、各教科・科目のテストなど)を行って合否を判定。以前は「AO入試」と呼ばれていました。

・学校推薦型選抜
高校からの推薦で受ける入試を、学校推薦型選抜といいます。各高校に推薦枠が決められており、合格率が高くなるのが特徴。一般的には、調査書や推薦書による書類選考や面接に加えて、小論文や学力検査なども実施して合否を判定します。

これらの入試では、受験生の能力・適性や、学びに対する意欲などで合否を決めるのが大きな特徴。逆にいえば、偏差値という比較の材料がないため、志望校の試験ごとの対策が必要になります。
自分のやりたいことや学びたいことが明確で、かつ偏差値に左右されたくない人には向いている入試といえるでしょう!

偏差値より「自分が何をやりたいか」を重視する

「少しでも偏差値が高い大学に入りたい」「偏差値で見て合格できそうな大学を受ける」と偏差値基準で志望校を選ぼうとしているのなら、それは考え直したほうがいいかも。高校生のあなたが今の段階で「やりたい仕事」「なりたい自分」があるなら、「やりたい仕事につながる学部」「興味のある分野を学べる学科」へ進学するほうが絶対にいいはずです。

もし、知名度や偏差値を優先して、実はあまり興味のない学部や学科で学んだとしたら、授業がつまらなく感じて大学に行かなくなってしまったり、休学や退学の道を選んでしまったりする可能性もあります。せっかく高校生活を費やして勉強して合格しても、中退してしまっては元も子もないですよね。
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偏差値も大事だけれど「自分のやりたいこと」を軸に進路を探してみよう

大学受験の偏差値は、自分の学力を知り、合格ラインに達しているかを判断する重要な要素です。ただし、志望校を選ぶときには偏差値だけで判断するよりも、「自分のやりたいこと、なりたいもの」を軸にした進路選択をするほうが、より充実したキャンパスライフを送ることができるかもしれませんよ。

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