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商社マン(商社パーソン)になるには?求められる資質・能力を紹介

2022.08.05

カテゴリー:
海外へ出張する商社マン

商社マン(商社パーソン)と聞いて、どんな仕事をイメージしますか?日本全国や世界各国を飛び回り、商談をまとめてバリバリと働いている姿に憧れる人もいるのではないでしょうか。
この記事は、商社マンに求められる資質・能力や商社を目指すための方法のほか、おすすめの進路についてご紹介します。

商社マン(商社パーソン)とは?

商社とは、商品・製品や原材料を調達し、流通・販売経路の開拓を行う業種です。「売り手(メーカー)と買い手(小売店や私たちユーザー)をつなげるパイプ役」と捉えるとイメージしやすいのではないでしょうか?
商社が手掛ける仕事を「カップラーメンからロケットまで」と表現することがあります。私たちにとって身近な商品から最先端の技術まで、商社にとってあらゆるものがビジネスとなっていることをうまく表していますよね。

商社内の仕事には、大きく分けて総合職と一般職があります。一般職は内勤の事務仕事がメインなので、商社マン(商社パーソン)というと、主に総合職を指していると考えていいでしょう。私たちが普段何気なく手にしている商品も、実は商社マンの活躍によって売り手と買い手が結びつけられたことで、世の中に提供されているのです。商社マンは、私たちの暮らしを支える重要な役割を果たしているのですね。

商社マン(商社パーソン)の仕事内容

プレゼンテーションをする商社マン

 
商社マン(商社パーソン)の仕事内容は、主に商取引(トレーディング)業務・金融業務・投資業務の3つに分けられます。それぞれどのような仕事をしているのか、詳しく見ていきましょう。

・商取引(トレーディング)業務
商取引(トレーディング)業務は、仕入先から調達した商品・製品や原材料を、取引先に販売する業務です。商社マンの仕事と聞いて、大半の人はこの商取引業務をイメージするのではないでしょうか。
商社マンがすごいのは、商品をただ仕入れて売っているのではなく、商品を輸出入するための貿易事務や各地へ届けるための物流の仕組みづくり、さらに商品を売るときのマーケティング戦略や販路開拓など、商取引に関するとても幅広い業務を担当していること。「右から左へ流す」だけではなく、その仕組みから作ってしまうのが商社マンなのです!
商取引業務であらゆる商材を扱う商社を「総合商社」、特定商材のみ扱う商社を「専門商社」と呼びます。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日の総合商社は、「7大商社」と呼ばれています。

・金融業務
商社には、金融業務が備わっています。金融と聞くと、銀行などの金融機関をイメージする人も多いでしょう。実は、商社の取引上のリスクに備えるため、金融業務も手掛けているのです。
例としては、外国為替取引や先物取引、保険代理業務、保証業務など。こうした金融業務は、商取引業務ほど表舞台に出てきませんが、商社にとって重要な収益源。商社マンには、こうした金融の知識も求められるなんてちょっと意外じゃないですか?

・投資業務
将来の利益を得るためにさまざまな産業にお金を出して、事業拡大を図っていくのも商社の仕事のひとつ。例えば、皆さんがよく行くコンビニ!
セブン-イレブンは三井物産、ファミリーマートは伊藤忠商事、ローソンは三菱商事といったように、コンビニは総合商社が出資して事業を拡大してきた経緯があるのです。私たちが普段利用している身近なお店も、商社マンがビジネスを支えているんですね。

商社マンの仕事のやりがい

商社マンは世界にあるビジネスチャンスを探し出し、これから大きく成長していく見込みのある事業へと成長させていきます。手掛ける仕事の売上規模が数百から数千億円に上ることも珍しくありません。また、取引先も日本全国さらには世界各地にわたっているので、非常にスケールの大きな仕事に携われるのが特徴であり、やりがいです。「世界を股にかけて大きな仕事をしたい」と考えている人にはぴったりでしょう。

自分が手掛けた事業が世の中に大きな影響を与え、大勢の人や会社にとってなくてはならない商品・サービスになっていくことを想像してみてください。そんな仕事に携わる商社マンだからこそ、得られるやりがいがあるのです。

商社マン(商社パーソン)の仕事の流れ

空港で打ち合わせする商社マン

 
商社マン(商社パーソン)の仕事内容は、扱う商材や取引先の業種によって異なります。ここでは、商社マンの一般的な仕事の流れについて解説します。

1. 取引先から依頼を受ける

商社マンの仕事は、取引先の企業から依頼を受けることがスタート地点です。取引先企業が求めている商品や調達したい部品・原材料などをヒアリングしつつ、それを仕入れる先の目星をつけていきます。

2. 仕入先を選定する

取引先が求めている商材の仕入先を選定します。すでに取引実績のある企業から調達が難しい場合は、国内外の新たな仕入先を開拓するケースも少なくありません。

3. 商談に臨む

仕入先の候補にアポイントメントを取り、商談に臨みます。仕入単価の希望額や取引料、納期がスムーズに決まるケースばかりとは限らないのが、この仕事の大変なところ。粘り強く交渉し、承諾を取りつけて契約を結びます。

4. コンサルティング・その他サービスの提供

商材の調達・取引に成功した後も、商社マンの仕事は続きます。商材を動かすための物流の仕組みの整備や、いかに売れるようにするかというマーケティング戦略の提案、リスクを低減させるための金融商品の提案など、コンサルティングを含むサービスを提供していくのです。取引先企業の満足度を高めていくことが、次の取引へとつながっていきます。

商社マン(商社パーソン)の年収

商社マン(商社パーソン)、特に7大商社は、ほかの仕事と比べて平均年収が高いことで知られています。7大商社の平均年収は下記のとおりです。

<商社マンの報酬例>
・三菱商事:1,687万円
・伊藤忠商事:1,628万円
・三井物産:1,483万円
・住友商事:1,356万円
・丸紅:1,192万円
・豊田通商:1,100万円
・双日:1,096万円
※「就職四季報 総合版 2023年版」(東洋経済新報社)

7大商社では、いずれも平均年収1,000万円を超えていることから、年収の高さがわかりますね。日本全国・世界各国を飛び回り、大規模な商談をまとめていく仕事がハードな分、年収はそれだけ高いのでしょう。

商社マン(商社パーソン)に必要な資質と能力

打ち合わせする商社マン

 
スケールの大きな仕事に携わることができて、待遇面でも恵まれている商社マン(商社パーソン)。それでは、商社マンに必要な資質・能力には、どのようなものがあるのでしょうか?

体力

商社マンは、体力勝負の仕事です。商材の仕入先を確保するため走り回り、有力な調達先候補が海外にあるとわかれば、すぐに現地へ赴いて商談に臨むことも。生活リズムが不規則になったり、長期間にわたる出張が必要になったりすることもあるでしょう。
あらゆる業務を担当することから仕事量も多く、朝早くから深夜まで働き詰めになる日もあるのが商社マン
なのです。タフでなければ務まらない仕事のため、体力は商社マンとして必須条件。体力に自信があり、誰かのためにがんばれるという人は商社マン向きかも?

精神力

手掛ける仕事の規模や動かすお金が大きくなればなるほど、失敗したときのリスクも大きくなります。商社マンは常にそのプレッシャーと闘いながら、商談相手との交渉に粘り強く臨むのです。時には、初めて訪れる外国の地で、商習慣や文化の違いを探りながら、相手と商談を進めなくてはならないことも。未知の環境にも恐れることなく飛び込み、目的達成に対する強い信念を持ち続ける精神力が求められます。
眼の前の壁が高ければ高いほどに燃える人こそ、商社マンは向いている仕事かもしれません。

語学力

商社マンの商談相手は、日本人とは限りません。海外企業との商談に会社代表として一人で赴くことも多いため、語学力は必須の能力といえます。特に英語に関しては、ビジネスレベルの会話が問題なく交わせるスキルを身につけておきたいところ。また、最近では中国企業との交渉が必要となるケースも増えています。英語に加えて中国語にも長けていると、仕事の幅がいっそう広がりそうですね。

コミュニケーション力

商談では、初対面の相手から限られた時間の中で信頼を獲得して、取引にOKをもらう必要があります。相手に合わせて意思疎通を図りつつ、伝えるべきことはきちんと主張できるコミュニケーション力やビジネスマナーが必要です。仕事内外で信頼関係を構築するために、会食などを通じて交流を深めることも、商社マンにとって重要な仕事のひとつです。

交渉力

商談には交渉が付き物ですが、商社マンの交渉は特にハード。希望の仕入額や調達量、納期に、相手先がすんなりと納得してくれることのほうが少ないでしょう。どこまで要望を受け入れてもらえるかは、商社マンの交渉力次第。ただお願いするだけでなく、相手にとってメリットのある提案をしたり、条件付きで要望を聞き入れてもらったりと、あらゆる手段を講じて商談をまとめていきます。無理難題を言われても、あきらめることなく、粘り強く交渉にあたる力が求められるのです。粘り強さに自信がある人はぜひ!

商社マン(商社パーソン)になるための方法とは?

授業で発表して称賛を受ける大学生

 
商社マン(商社パーソン)になるために、取得すべき資格や勉強しておくべきことはあるのでしょうか。また、商社マンになった後は、どのようなキャリアが考えられるのでしょうか。商社の世界の現状と併せて解説します。

商社マンの世界の現状

商社は、総合商社を中心として事業経営ビジネスに力を入れています。「事業経営ビジネス」とは、今後の成長性が見込める分野の仕事を見つけ出して、そこに投資をするビジネスのこと。これまでのようにお金だけを出す事業投資ではなく、仕事そのものに加わり、働く人なども含めて投資することが最近の商社の世界のトレンドです。

ただ、どんな形でも、投資にはリスクが伴います。世界の経済動向や社会情勢は目まぐるしく変化しているため、あるタイミングで「見込みがある!」と思われた事業が、例えば新型コロナウイルス感染症の影響などで急に伸び悩むことも珍しくありません。投資する分野のアンバランスさをできるだけなくし、リスクに備えておけるかが、これからの商社の明暗を分けることになるでしょう。

商社マン自身も、これまで以上に新たな情報を積極的に集めて、世の中を見極める目を持たなくてはなりません。AIやIoT、NFT、メタバースなど、新しい技術が次々と登場する中、次のビジネスチャンスがどこにあるのか判断できる目を養う必要があるのです。
高校生でも新しいことを知るのが大好きで、好奇心を持っていろいろな情報を集めて自分なりに考えられる人は、これからの商社マン向きといえます!

商社マンになるための勉強ができる大学・学部

商社マンになるために必須の学問や専攻はありません。実際に、商社に採用されて入社する人の中には、経済学部・経営学部・商学部・外国語学部などの出身者が少なくありません。また、総合商社は採用者の大半が難関大学出身というケースが多いことから、学歴は選考基準に含まれていると考えたほうがいいでしょう。
下記は、総合商社で過去に採用者数の多い大学です。参考にしてみてください。

<商社マンの出身大学>
・大阪大学
・京都大学
・慶應義塾大学
・上智大学
・東京大学
・一橋大学
・早稲田大学
※50音順

GMARCHや関関同立などの私立大学から7大商社の内定を獲得する人もいますが、上記のような大学出身者と比べると割合としては少なめです。
一方、専門商社の中には、難関大学以外の出身者を採用している企業も見られます。難関大学入学は難しいけれど絶対に商社マンになりたい人は、専門商社も視野に入れてみてはいかがでしょう?

商社マンになるために必要な資格や受験すべき試験

商社マンになるために必須の資格はありませんが、身につけておくことで実務に活かせる資格がいくつかあります。具体的には、下記の資格を保有していると商社での仕事で役立つはずです。

・TOEIC
海外企業とやりとりする機会の多い商社マンにとって、ビジネス英語の能力を証明できるTOEICは受験しておいたほうが良さそうです。スコアの目安としては、730点以上あれば商社マンレベルの英語が使えるといわれています。学生のうちに730点以上を目指して勉強していくことで、商社マンの仕事に求められる語学力に近づけるでしょう。

・日商簿記
取引先企業や投資先企業の経営状況を把握するには、決算書を読み解くチカラが必要です。会計の基礎的な知識が必須となることから、日商簿記は取得しておきたい資格といえるでしょう。履歴書に書けるレベルの日商簿記検定は1~3級、および初級がありますが、商社マンが実務で役立てるには少なくとも2級以上を取得しておきたいところ。

・貿易実務検定・通関士など
海外企業と取引する際に、貿易に関する知識は役立ちます。通関手続きなどの基本的な知識が身についていれば、輸出入の実務で活かせるはず。具体的には民間資格の「貿易実務検定」や国家資格の「通関士」などが挙げられます。

商社マンになるために目指すべき就職先

商社マンになるには、商社への就職を目指すのが最も近道です。総合商社の中には、新卒を例年100名以上採用している企業もあります。ただ、総合商社は就活生に人気のある業種のひとつ。競争率が高いことは、覚悟しておく必要があるでしょう。

総合商社に限らず商社マンを目指すなら、専門商社も有力な就職先の候補です。専門商社は扱っている商材も企業規模もさまざまですが、特定の分野に精通したスペシャリストを目指せるのが魅力。知名度の高さから、商社と聞くと有名な総合商社をイメージしがちですが、専門商社も含めて考えることで就職先の範囲を広げることができます!具体例としては燃料・エネルギー系の伊藤忠エネクスや、機械を専門とする岡谷鋼機、メーカーであるキヤノンの商社的機能を担うキヤノンマーケティングジャパン、医薬品を扱うアルフレッサなどがあります。

商社マン(商社パーソン)になった後のキャリアプラン

商社マン(商社パーソン)になってからは、どんな道があるのでしょうか。商社内で昇進を目指す以外に、下記のような道へ進む人もいます。ぜひ参考にしてみてくださいね。

コンサルティングファーム

商社マンとして培った交渉力やコミュニケーション力を活かして、企業の課題を解決するコンサルティングファームへ転職するキャリアプランがあります。コンサルティングファームでは、手掛けるプロジェクトごとに扱うジャンルが大きく変わることも。より幅広い仕事に関わっていきたい人や、企業の戦略を考えることにがんばっていきたい人に向いた転職先といえるでしょう。

外資系企業への転職

海外で仕事をする特性を活かして、外資系企業へ転職しさらに高収入を目指す人もいます。商社マンの平均年収はほかの仕事と比べて高い傾向がありますが、高い成果を挙げれば商社以上の年収を実現できる外資系企業もあるのです。商社で磨き上げてきた交渉力や商談をまとめ上げるコミュニケーション力、語学力を活かしたい人にとっては、魅力的な選択肢となりそうですね。

独立して事務所を設立

経営コンサルタントや法人相手の営業のスペシャリストとして独立し、個人事務所を設立するキャリアも。商社マンとして十分な実績があれば、多数のお客さんから引き合いのある個人事務所に成長させていくことも可能でしょう。手掛けたい事業のジャンルも自分で選ぶことができるため、得意分野や強みを活かして、大きく成長する可能性があります。

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商社マン(商社パーソン)は売り手と買い手のパイプ役となり、商取引に関わる幅広い業務を手掛ける仕事です。金額的・地理的に大きなスケールの仕事に携わるチャンスなので、大きな仕事を手掛けてみたい人におすすめの職業といえます。
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