コラムニストになるには?仕事内容や求められる資質・能力などを紹介
2022.08.05
文章を書くのが好きなあなたは、コラムニストになってみたいと思ったことはありませんか?世の中のさまざまな出来事を独自の視点で解釈し、読む人の心をゆさぶる記事を執筆するコラムニストって、知的でちょっと憧れますよね。
この記事では、コラムニストの仕事内容や必要な資質と能力を詳しく解説しています。コラムニストになってからのキャリアプランも紹介していますので、ぜひ進路選択の参考にしてくださいね!
コラムニストとは?
コラムニストとは、新聞や雑誌・ウェブメディアなどに論評記事を寄稿する仕事のこと。コラムとは元々、「囲み記事」という意味なのです。最初は新聞や雑誌に掲載されるごく短い論評をコラムといっていました。現在では囲み記事に限らず、独自の視点で書かれた文章はコラムと呼ばれています。
コラムニストが書く記事のジャンルに制限はありません。政治や経済、時事問題のほか、家電製品に恋愛など、テーマは多岐にわたります。「独自の切り口がおもしろい」「このコラムニストの文章をまた読みたい!」と読者から反響があればあるほど、コラムニストとしての評価は高まっていくでしょう。
コラムニストは、その人ならではのユニークな文章を書ける才能が求められます。それには、ほかにはない人生経験や思考が必要であり、ユニークな文章を生み出すのはとても大変です。でも、あなたが書いた文章を読んでもらって、多くの人が共感したり驚いたり、心をゆさぶられることを想像してみてください。とてもワクワクする、魅力的な仕事だと思いませんか?
コラムニストとエッセイスト、小説家との違い
コラムニストとよく似た仕事に、エッセイストがあります。本来、「時事問題など特定のテーマをメディアに指定され、それについて意見を交えつつ論じる」コラムニストに対して、エッセイストは「著者自身の体験や感想を思うがままに書く」という明確な違いがありました。実際のところ、コラムニストとエッセイストの線引きは、曖昧になっているのが現状です。
少し難しい話をすると、コラムは「テーマが指定された依頼原稿」、エッセイは「自由に思うことを書いた原稿」なので、コラムニストの書いた文章の著作権はメディア側にあり、エッセイストの著作権は著者側が持つパターンが多いようです。
ちなみにライターは、「テーマが指定された依頼原稿」を書きますが、「自分の意見を入れて論じる」ことはしません。自分を出さず、客観的なレポートを書くイメージです。
創作文章を書く仕事といえば、「小説家とは何が違うの?」と思う人もいることでしょう。小説家は物語を中心とする創作物を書く人を指します。コラムニストが書くのは物語ではなく、意見や批評なのです。
コラムニストの仕事内容
コラムニストは、メディアから原稿依頼を受けて執筆するのが一般的。編集部から記事のテーマや方向性が示されることも多く、コラムニストは編集者のオーダーに応えた原稿を書きます。依頼もなくコラムを書くことはありません。
紙の原稿用紙で執筆することはほとんどなく、現在はPCで原稿執筆するコラムニストが大半です。原稿の受け渡しもメールやインターネット上でできるため、今のコラムニストは場所を選ばずに仕事を進めることができます。
新聞や雑誌などのメディアには発売日が決められているため、それから逆算した原稿の納品日(締め切り)がコラムニストにも伝えられます。コラムニストは納品日までに間に合うように原稿を書き上げなくてはなりません。
売れっ子のコラムニストは、各メディアで連載記事を何本も抱えていることも。納品日をきちんと守りつつ、質の高い記事を書くコラムニストには、依頼が途切れることなく舞い込みます。逆にいえば、締め切りを守れないコラムニストは、文才があっても仕事の依頼はなくなってしまうかもしれません。
コラムニストの仕事のやりがい
人気のあるコラムニストは、ほかにはないユニークな視点を持っていたり、独特の表現方法を駆使したりしています。そうして生み出された文章が多くの人に気づきを与えたり、共感されたり、あるいは賛否を巻き起こしたりするのです。時には、社会を動かす原動力となることも。
文章を通じて世の中に大きなインパクトを与えられたとき、コラムニストのやりがいを感じられることでしょう。
なお、コラムニストは特定の分野に関する高い知見や、豊富な情報を持っていることがあります。それが注目され、テレビのコメンテーターのようなポジションに抜擢されることも。
世の中で注目される出来事が起きたとき、自分の持っている知識や情報を世の中に提供することになったり、あるいはマニアックな分野を研究してきた自分が、トレンドリーダーとして流行の最先端にいたりするかもしれないのです。そんなときも、「コラムニストとしてやってきてよかった」と実感できるはず!
コラムニストの仕事の流れ
コラムニストの仕事の進め方は、執筆テーマやジャンル、メディアによって異なります。ここでは、雑誌に掲載するコラムを執筆するときの仕事の流れを見ていきます。
1. 原稿依頼を受ける
雑誌出版社から、次号のコラムの執筆依頼があります。依頼を受けるにあたって、テーマや文字数、原稿納品日、そして原稿料を確認します。原稿料の決め方はメディアによってさまざまですが、下記のパターンがあります。
<コラム原稿料の決め方>
・記事単価(1記事いくらと決められている)
・文字単価(1文字いくらと決められている)
・原稿用紙換算(400字詰め原稿用紙1枚あたりいくらと決められている)
2. 調査・取材
執筆するテーマについて情報収集を行います。コラムニストは主観にもとづいて記事を書くことが多いものの、思い込みで事実と異なることを書いてしまうのは絶対に避けなくてはなりません。十分な調査のために、インターネットや書籍、新聞、雑誌などを調べて、書くための資料を集めます。
執筆テーマによっては、取材やヒアリングを行うことも。テーマに詳しい人の話を聞いたり、実体験を語れる人から電話で情報収集したりと、進め方はさまざまです。十分な情報が集まったところで、いよいよ執筆に移ります。
3. 原稿執筆
最近のコラムニストは、原稿をほぼパソコンで執筆しています。所定の文字数内で伝えたいことをまとめるチカラも重要です。コラムのタイトルやサブタイトルも含めて依頼されるケースもあり、その場合はタイトル候補をいくつも挙げて検討することになります。複数の仕事を抱えていれば、原稿納品日までに十分な時間が確保できないこともあり、夜を徹してでも原稿を書き上げる精神力が求められます。
4. 納品
原稿を書き上げたら、全体を読み返して誤字脱字や読みにくい箇所がないかチェックします。この作業は推敲と呼ばれます。プロの書き手として、ミスのない原稿を納めることは非常に重要です。チェックを終えたら出版社の編集部へメールなどでファイルを送信し、納品(入稿)は完了です。
コラムニストの年収
コラムニストの年収をまとめた公的なデータはなく、実際のところ、コラムニストとしての収入だけで生活できる人は決して多くはありません。
駆け出しのコラムニストであれば、原稿料は原稿用紙1枚あたり1,000〜3,000円程度。仮に1枚2,000円として計算すると、1ヵ月に100枚書いたとして月収は20万円です。このペースで1年間書き続けた場合、年収は240万円となります。
一方、有名コラムニストには、月刊誌や週刊誌で自身の連載コーナーを持ち、コンスタントに執筆を続けている人もいて、そのようなコラムニストは原稿料収入や、自分の書いた本の印税収入を得ています。一般的にコラムニストは、その実力や人気によって年収も大きく左右される仕事なのです!
コラムニストに必要な資質と能力
ここでは、コラムニストに必要な資質と能力について見ていきます。始めからすべてのチカラを備えていなくても、求められる資質や能力を少しずつ身につけ、着実に成長していくことが大切です。
構成力
与えられた、あるいはみずから設定したテーマに対し、どのような切り口からどの順序で書いていくべきか。そこで、文章の構成力が問われます。構成力はコラムニストにとって、非常に重要な能力です。基本的なコラムの構成としては、下記の3つが挙げられます。
<序破急>
・序(序論):何についての記事か、テーマは何か
・破(本論):テーマについて解説し、意見や見解を述べる
・急(結論):記事の内容をまとめる
<PREP法>
・Point(結論):意見や見解を述べる
・Reason(理由):なぜその意見・見解なのかを説明する
・Example(具体例):理由を補強するための具体例を提示する
・Point(結論):意見や見解をあらためてまとめる
<起承転結>
・起:何についての記事か、テーマは何か
・承:テーマについて解説し、意見や見解を述べる
・転:新たな切り口を提示する
・結:記事の内容をまとめる
「どの構成を使うのが正解」という、ルールはありません。作風や書くべきテーマに合わせて構成を自在に使い分け、インパクトのあるコラムに仕上げるのがコラムニストの仕事です。
コラムニスト志望の高校生なら、日頃から文章の構成を考える練習をしていく必要がありそうですね!
表現力
コラムがおもしろい読み物になるかどうかは、コラムニストが使う言い回しや語彙などの表現力によって決まるといっても過言ではないでしょう。そのコラムニストならではの特徴的な表現が、コラムの内容を読者に印象づけることができる最大の武器なのです。
そのような文章の表現力を、一般的には「文章のセンス」や「文才」といいます。表現力豊かな文章を書くためのメソッドは存在せず、努力だけでは身につかないかも。裏を返せば、日常会話の中で「言葉選びがおもしろい」「言い方が独特」と言われたことがある人は、コラムニストとして向いているといえるかもしれません。
語彙力
コラムニストは言葉を扱う仕事です。言葉を扱う上で、語彙力は不可欠といっていいでしょう。伝えたいメッセージを的確に表現できる言葉を適切に使うには、多くの言葉を知っている必要があるからです。
語彙力が必要ではありますが、別に難しい言葉や複雑な表現を多用すればいいわけではありません。大切なのは、自分らしさを伝え、なおかつ読者に刺さるベストな言葉を適切に選ぶことなのですから。
高校生のうちに、自分で文章を書くだけではなく、優れた文章や表現にふれる機会を増やしておきたいところですね。
企画力
コラムニストは、依頼を受けて原稿を執筆することが多いものの、コラムニスト側から企画を持ち込むこともあります。自分の専門分野を広げ、編集部に「こんな記事も書けますが、いかがでしょうか?」という提案ができれば、雑誌やメディアからの引き合いがさらに増えるでしょう。
とはいえ、企画力は、すぐに身につくものではありません。好きなジャンルや専門分野について常に情報収集を続け、独自の考察を繰り返した末に、企画のアイディアが出てくるからです。
自分が夢中になれるようなテーマを見つけて探究していけば、いつか魅力的な企画の提案につながっていくはず。そこには、仕事と趣味の垣根はないかもしれません。
コラムニストになるための方法とは?
「こうすれば必ずコラムニストになれる」というルートが確立されていないのが、コラムニストの世界です。コラムニストの世界の現状と併せて、どのような進路・キャリアを目指していけばコラムニストになれるのかを考えていきましょう。
コラムニストの世界の現状
かつては、新聞や雑誌などしか多くの人が読むメディアはなく、コラムニストの活動場所もそこに限られていました。今では、ウェブメディアやニュースサイト、個人ブログでもコラムのような文章が読めるようになっていますよね。コラムを書き、多くの人に読んでもらうためのハードルは低くなったといえます。
個人ブログは誰でも自由に開設できるので、今や「誰もがコラムニストになれる時代」です。ブログを開設し、コラムを書いては発信していくのも、プロのコラムニストを目指す方法といえるでしょう。
では、コラムニストとして活躍するのが、昔と比べて簡単になったのでしょうか?残念ながら、そうではありません。
インターネット上には、常に新しいコラム記事がアップされています。それだけ多くの書き手がいるということは、「見つけられて、読まれて、おもしろいと思ってもらう」競争も激しくなりますよね。
コラムを書きたい人はたくさんいるので、ウェブメディアの1記事あたりの原稿料は安くなっています。コラムニストとして生計を立てていくのは、ライバルが多い分だけ、かえって難しくなっているともいえるのです。
本当に価値のあるコラムを発信できる人材は、希少性が高まっているといえます。これからコラムニストを目指すならば、あなたにしか発信できない独自の切り口や、専門的な知識を持っているかがカギになりそうです。
コラムニストになるための勉強ができる大学・学部
コラムニストになるのに特化した大学・学部は存在しません。文章は誰にでも書けるものですし、文学部出身の人が皆、コラムニストになるわけでもないからです。
自分が興味を持てる分野を学べる学部を選ぶことが、結果的にコラムニストになって役立つこともあるかもしれません。経済についてコラムを書きたい人は経済学部であったり、アートに関するコラムを書きたい人は芸術・美術大学に進んだりと、「好きなこと」と「書きたいこと」を深めていくことこそが重要です。
ちなみに、有名なコラムニストは、下記のような大学・学部に進んでいます。
<有名コラムニストの出身校>
・唐沢俊一(青山学院大学 文学部)
・泉麻人(慶應義塾大学 商学部)
・辛酸なめ子(武蔵野美術大学短期大学部 デザイン科グラフィックデザイン専攻)
・深澤真紀(早稲田大学 第二文学部)
・おおしまりえ(日本大学 芸術学部)
・マツコ・デラックス(東京マックス美容専門学校)
※50音順・敬称略
あなたが知っている有名コラムニストも、さまざまな勉強をしてきたことがわかりますよね。人の心をゆさぶるコラムを書くには、特定分野を勉強する以外にも、さまざまな人生経験が必要です。失敗や挫折の経験こそ、コラムを書いていく上で役立つことも多いもの。大学進学してからも、留学やアルバイトなど、いろいろな経験をして自分自身の思考を深めていってくださいね。
コラムニストに必要な資格や受験すべき試験
コラムニストになるためのステップとして文章力を向上させたいなら、ライター養成を目的とした専門学校などで学ぶのがおすすめです。こうした学校では、文章を仕事にしたい仲間にも出会えますし、ライター向けの一般的な文章作法などを学べます。ただし、コラムニスト養成に特化した学校ではない点には注意してくださいね。
コラムニストになるために、出版社が主催する文学賞の評論部門で賞を目指すのもひとつの方法です。受賞をきっかけに、出版社が出している雑誌の連載デビューにつながることもあるからです。もちろん、受賞自体はかなり難度の高いものですが、自分の文章力を試してみるいいチャンスかもしれませんよ。
コラムニストになるために目指すべき就職先
何らかの収入を得ているコラムニストは、ほとんどがフリーランス、あるいは副業です。少なくとも、特定の企業に就職すれば自動的にコラムニストになれるわけではありません。
ただし、仕事で文章を書くことが多く、コラム執筆のチャンスが得られたり、コラムニストの仕事を近くで見られたりする職業はあります。下記のような職業でコラムニストになるためのトレーニングを積むのもアリでしょう。
<コラムニストを目指せる就職先の一例>
・出版社
・新聞社
・ウェブメディア運営企業・支援企業
コラムニストになった後のキャリアプラン
コラムニストとして世の中で知られるようになると、「コラムを書く」以外にもさまざまな仕事ができるようになります。
コラムニストの中には、小説作品を発表し、作家として活躍する人もいます。また、その独自の切り口が注目されて、テレビやインターネット番組に出演し、評論家やコメンテーターとして活躍する道もあるでしょう。トークのおもしろさやキャラクターが視聴者から受け入れられれば、タレントに転身することも不可能ではありません。
コラムニストは希少な存在だからこそ、成功すると執筆以外の分野でも活躍できる可能性がある、夢多き仕事なのです。
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独自の切り口にもとづいて論評記事を書くコラムニスト。自分が書いた文章を通じて多くの人の心をゆさぶるには、文章力や表現力などに高い能力が求められます。コラムニスト一本で収入を得ていくのは決して簡単なことではありません。しかし、個人ブログやSNSですでに発信していて手応えを感じており、「文章を書くことを仕事にしたい!」という想いを持つ高校生のあなたなら、目指してみる価値は大いにあります!
今回の記事と「JOB-BIKI」を参考に、コラムニストになるための道について考えてみてください。「将来のコラムのいいネタになりそうなのは、この大学へ進むことかな?」――そんな進路選びがあってもいいのかも?