系統別学問内容リサーチ
農学系統
農学系統は、自然の環境からさまざまな作物を収穫する産業―農業・畜産業・林業・水産業など―の技術を研究する実践的な学問です。研究の中心は、農作物・食肉・魚介類などの《食糧》資源に関するテーマです。
この系統の学問分野
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農学の分野
穀物や野菜、果物などの農作物をつくる「農業」の技術を総合的に研究する分野。農業生産に品種改良などの新しい技術を導入し、収穫量の増加と作業の効率性の向上をめざす実践学問
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農芸化学の分野
化学や生物学の知見を農業のいろいろな技術に応用する学問ジャンル。主として、農作物の生産量や品質の向上、貯蔵法、食品加工法などに関してバイオと化学の視点からアプローチする
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農業工学の分野
農業生産に関する工学的テーマを扱う学問で、農業用地の開発や管理、農機具に関する研究が中心。農業の生産環境と農村社会そのものについて研究し、農業の未来の姿を構想する分野
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農業経済学の分野
農作物の生産、流通、消費の過程を主に学習し、食糧の安定供給と安全性の確保のための方策を研究する分野。世界の食糧流通を検証し、食糧危機の解決や途上国の開発援助にも取り組む
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森林科学の分野
木材など森林資源の利用と森林環境の保護を研究する分野。森林の管理のみならず、森林の景観づくり、水資源の管理と有効利用、土砂崩れや山火事など山林災害の防止対策等がテーマ
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獣医学・畜産学の分野
家畜などの動物の飼育と健康管理、資源としての利用を研究。動物の病気治療と予防法を研究する「獣医学」と動物を資源として飼育・繁殖・利用を研究する「畜産学」は不即不離の学問
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水産学の分野
海洋や河川、湖沼に暮らすあらゆる動植物を対象に、水産物の漁獲や増殖、加工、流通の方法、さらには海洋環境の保護、水産物の資源としての利用方法について実践的に研究する分野
教育・研修のめざすもの
大地や海洋の産物の効率性と収益性の向上研究
農学は、農業、林業、畜産業、水産業などの実践技術を研究する学問系統です。
植物を栽培したり、家畜を育てたり、魚介類の収穫や養殖をするなどの手段により、大地や森林、海洋といった自然環境から良質の作物を収穫する、いわゆる第一次産業の仕事を対象とする研究領域です。
人間の長い歴史の中で、実用学として長年蓄積されてきた知識や技法を、科学的に体系化したジャンルですが、最近では、最新技術を応用するバイオテクノロジーの領域が大きく発展しています。たとえば、生物の細胞や分子を操作して、作物の品質を向上させたり、収穫量を増やす技術のほか、植物や動物の身体や機能を応用して、医薬品・食品、洗剤や繊維など有用なものを創り出す研究も進んでいます。
メインとなるのが農作物や食肉、魚介類などの《食糧》を生産するための技術で、生産量や収穫量を増やすための農業や畜産の技術、漁獲の技法を扱います。
将来の進路・職業
農業従事者、その技術指導者、食品や医薬品などの研究者
農学の研究では、植物・動物についての科学的な知識と、農業生産の実践的な技法、さらに、自然環境の問題を総合的に学ぶことができます。
農学を専攻した学生の進路としては、まず、農業の専門家として食糧の生産に携わる仕事、農業の技術を指導する仕事(都道府県や市町村職員、農業団体の職員など)が挙げられます。
最近、農業の世界では民間会社による大規模な農地運営も始まっています。農業工場などで集約的な生産を行う企業も登場しており、こうした農業企業や団体への就職も考えられます。
また、農村や里山の環境を守る仕事、高齢化が進む農村や山村の人たちを支援するシステム作りなどの仕事や、食品関連の商社や流通業、発展途上国を支援する企業のビジネスマンといった進路もあります。
さらに、大学院に進み、高度な専門知識と技術を修得することで、食品、農薬、医薬品、農業機械などの開発技術職も考えられます。